『砂丘のある街 〜それぞれの出発点〜』は、サークルEXPROLEの企画として未完だったものを復活させたもの。対応機種はWindowsXP/Vista/7で、ブラウザ上で動くアプリケーションではなく、単体のプログラムとして無料配布される。インストール作業は不要。
内容は、同じ日、同じ街、同じ時間に進行する3人の主人公の物語を、プレイヤーが選択肢を選びながら結末まで導くというもので、オムニバス形式であることを除けば一般的なビジュアルノベルと同様である。


■ 基本操作

本作はマウスでプレイすることを前提に作られているが、キーボードでも問題なくプレイできる。ゲームを終了させる時は、他のWindowsアプリ同様、ウィンドウ右上の「×」で終了させる。オートセーブ機能は無いので、中断する時は後述するタイムチャートメニューからセーブすることをお忘れなく。

【マウスでの操作】

マウス本体の移動	項目の選択
左クリック	文章の読み進み、決定
右クリック	キャンセル(前の画面に戻る) 押している間 文章の高速表示
ホイールの回転	タイムチャートのスクロール

【キーボードでの操作】

	項目の選択
	文章の読み進み、決定
	キャンセル(前の画面に戻る) タイムチャートの表示
	押している間 文章の高速表示
	押している間 文章を消す

■ 使用するファイルの選択

『砂丘のある街』のゲームの進行状況は3ヵ所に保存できるが、これはタイトル画面で「はじめから」を選んだ時にどの場所に保存するか指定する。既に保存したデータがあるファイルを選択すると、当然上書きされてしまうので注意。


■ 主人公の選択

『砂丘のある街』に登場する3人の主人公は、それぞれ異なる特徴を持っている。彼女と一緒に行方不明の姉を探す元女性の『直斗』、掲示板を荒らし続ける二次元オタクの通称『Ｒ』、男女間の性別として生まれたがゆえの苦痛に苦しむ『栞』。実在する当事者の体験談が元になっているが、過去に同テーマを扱ったTVドラマのような絵空事ではなく、当事者たちが語りたがらない惨めな現実や悪質な面にも触れている。そして、3人の主人公にはある共通した秘密も…。

ゲーム序盤では決められた順番で3人のシナリオをプレイすることになるが、ある程度物語が進むと各主人公のシナリオを自由にプレイ(同時進行も可能)できるようになる。3人のシナリオを共通したある時間まで進めると、エンディングへと繋がる共通シナリオが始まる。


■ 画面説明/ゲームの進め方

ゲーム画面は一般的なビジュアルノベルと同じ。マウスカーソルをゲーム画面の右端に移動させると(キーボードではCtrlキーを押している間)、表示されている文字を一時的に消して背景だけを見ることができる。
右上に表示された時計は、ゲーム内での時間を10分刻みで表している。(プレイヤーの選択によってその時間の流れが変化するシーンや、過去の回想のシーンでは時計が表示されない場合もある)

物語を進めると選択肢が表示され、適切なものを選ばないと物語が進行しなくなることがあるが、そんな時はタイムチャート機能を使って前の時間に戻り、選択肢を選び直すことによって解決することになる。なお、ここでの選択が他の主人公に影響を与えることはない。

タイムチャートの画面へは右上の時計をクリック(キーボードではESCキー)で入ることができる。タイムチャートの画面も時計同様10分間隔で管理され、ゲームの進行に合わせて作られてゆき、3人の時間ごとの状況と現在位置がわかるようになっている。タイムチャートに表示されるようになった時間への移動は自由になる。

なお、ゲーム進行状況の保存(セーブ)は、このタイムチャート画面で「保存」を選択することでいつでも行うことができるが、再開する時はその時間帯(10分単位)の最初に戻されるので注意が必要だ。


■ 総評

システムとしては細かい部分まど非常に丁寧に作られている印象を受けるが、シナリオは内容不足でまだまだな感じ。各主人公はただ移動しているだけという印象を受ける。タイムチャートを見てもわかる通り、空いている時間帯も多い。「ベータ版のようなものだから」で逃げるのではなく、もっと細かい部分までシナリオを作ってほしい。